金水晶酒造店代表取締役 斎藤美幸
金水晶酒造店のホームページをご覧いただきありがとうございます。 福島市唯一の造り酒屋「金水晶酒造店」の斎藤美幸と申します。先代社長である父が高齢になり、ほかに兄弟姉妹のいない一人娘であるため「私が継がないと実家の酒屋が無くなってしまう」と思い2015年4月に東京から戻り、2018年4月より代表取締役を拝命いたしました。
それまで家業を継がなかった理由は、造り酒屋の将来に希望を持てなかったからです。 日本酒業界全体の生産量は、最盛期の3分の1に落ちこみ、福島県酒造組合加盟社数も昭和33年に155社だったものが現在は63社。洋酒や焼酎、大量生産で安価な日本酒との競争にさらされる中、「こんな小さな造り酒屋を継いだら将来ご飯が食べられなくなってしまう」と本気で思っていました。
それでも継ごうと思ったのは、震災後、「福島市だけでなく福島税務署が管轄する福島市、伊達市、伊達郡で一件だけの造り酒屋になってしまった」ことに気づいたからです。
実は当店では、「金水晶」の自社ブランドの他、地域のプライベートブランドとして、伊達郡川俣町の「古寿琴(コスキン)」伊達市月舘町の「小手姫」伊達市霊山町の「みちのく霊山」二本松市東和町の「木幡山」という日本酒を造らせていただいています。
年末近い、激しく雪の降る日のことでした。霊山町の皆様が厳寒の中、町の「湧水の里」から水をタンクで運んでいらっしゃる姿を見て私は「みんな自分の地域の地酒が欲しいのだ」と突然思い至りました。地元に造り酒屋のない方がこれだけがんばっているのに、私は自分の生活不安から地元の酒を無くしても良いのだろうか。「金水晶は御神酒(おみき)から始まった」とも聞いているのに、地元の神社や祭りに地酒が無くて良いのか。
「それでも良い」と言う人はいるでしょう。しかし私は嫌だと思いました。地元の祭りに地元の酒が無いのは悲しいと思いました。日本国内で酒の供給は十分足りているけれど、やはり福島市にも地酒はあるべきだとおもいました。そういうわけで私は誰に頼まれた訳でもなく自分で造り酒屋を継ぐことを決めました。
福島は今、震災からの復興にむけて歩みを進めています。
「福島市唯一の造り酒屋を残すべき」と義務感で継いだ酒屋ではありましたが、3年たつうちに「福島の風土や歴史を詰め込んだ地酒は、故郷の誇りを伝える親善大使のようなものではないか」と思うようになりました。
手造りのため、年間約300石と大変少ない生産量ではありますが、全国新酒鑑評会で金賞12回、インターナショナルワインチャレンジゴールドメダル、純米酒大賞2年連続金賞など吟醸酒、純米酒ともに各方面から評価をいただいております。今宵も金水晶を手に、私たちの故郷へ思いを馳せていただければ幸いです。
製品の製造には十分注意しておりますが、万一不良品がございましたら、弊社までご連絡の上、お買い上げにの日時、店名を書き添えて現品をお送りください。